上野千鶴子さんの祝辞

Facebookで話題になっている上野千鶴子さんの平成31年度東京大学学部入学式祝辞。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

こういう祝辞にありがちな耳に心地いい言葉や抽象的な言い回しは一切使わず、彼女の新入生たちへの願いが、率直に語られたと思われる祝辞でした。

「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」

誇張でも何でもなく、全く現状はそのとおりです。残念ながら。
そのことを、社会に出てから徐々に知っていく私たちの時代から比べると、これをハッキリと言ってくれる人が大学で教えているという状況は、進歩したと言えるし、それこそが恵まれた環境だと言えるでしょう。

「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます」

これも全くそのとおり。
正直なところ、自分がこの仕事に就く以前は、そのことをよくわかっていませんでした。
でも今では、がんばろうにもがんばれないひとのこと、意欲をくじかれた人たちのことを、日々目の当たりにしています。
がんばれる人は、環境のおかげなのです。

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。」

がんばれる人は偉いし、がんばったことは誇りに思っていいのですが、環境のおかげだったことを忘れずにいたいものです。
それを思い出せば、感謝の気持ちがわき、謙虚になり、社会的弱者を労わり助けよう思うでしょう。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。」

そして、勝ち抜かなきゃ生きていけない、と思い込んでしまうような社会を変えていくのです。



「たちあがる女」women at war

「たちあがる女(women at war)」は、監督の才能と独特なセンスが感じられる映画でした。

主人公ハットラの迷いのない信念と情熱は、清々しく、ハラハラしつつもどこかユーモラスで、心を惹きつけられます。
表の顔は合唱団の講師、もう1つの顔は環境保護活動家というハットラですが、送電線を切ることも、歌を教えることも、ウクライナの少女の養母になることも、一貫したブレない人物像として生き生きと描かれていると感じました。

BGMを演奏する楽隊やコーラス隊が、登場人物と一緒にスクリーンの中に登場するのですが、これはインド映画でも何度か観た手法で、舞台芸術のようなテイストをつくります。
ピアノとドラムとチューバという組み合わせも面白く、音楽というより、主人公の心情をそのまま表現するような効果音のように使われているところも斬新でした。

展開はコミカルで、一応ハッピーエンドと言っていいのだろうけれど、最後に映されるウクライナの水害は、やはり環境破壊というこの映画のテーマを思い起こされるでした。

ジョディ・フォスターが絶賛し、彼女の監督・主演でハリウッドリメイクされるらしいです。
さて、どんなリメイクになるのでしょう。





脱出カサンドラ 初版発行



アスペルガー症候群は、発達障害の一種で、主に対人コミュニケーション能力の障害として現れますが、知的発達や言葉の発達の障害がないことが特徴です。
そのため、本人も周囲も気づきにくい障害です。

近年は発達障害の認知度が高まり、子どもの頃に診断される機会も増えつつありますが、気づかないまま大人になり、対人関係のトラブルや依存症などがきっかけで、気づくことも少なくありません。

アスペルガーは、人の気持ちを察したり、周囲の空気を読んだりすることが苦手で、相手がどう感じるか、場に相応しいかなどに関係なく、思ったことをそのまま言って相手を傷つけたり、場の雰囲気を壊したりしてしまうことがあります。

また言葉のニュアンスや言外に込められた意味を読み取ることが苦手なため、なかなか意思の疎通がとれません。
本人は悪気がなく、むしろ真剣だったり一生懸命だったりするのですが、周囲からは、自分勝手で一方的、協調性がなくわがままであるように見られます。


一方、このような特性をもつ人(特に大人)と毎日やりとりをしなければならない周囲の人は、コミュニケーションのストレスで、精神的に疲弊していきます。
アスペルガー症候群の人の身近にいる家族や職場の人が、ストレスで陥る抑うつ、無気力などの状態のことを「カサンドラ症候群」といいます。

アスペルガー症候群の人をパートナーに持つ人の精神的苦痛は、まわりからは理解されにくく、孤立化し自己肯定感は低下していきます。

アスペルガーのパートナーと息子を持つ櫻田万里さんもそのひとりでした。
万里さんは、ご自身の困難に立ち向かう中で、カサンドラ症候群という言葉に出会い、同じように苦しんでいる人たちがいることを知りました。
そして、自らの体験を役立てたいと思い立ち、カサンドラの支援活動をはじめました。

この3月、小冊子「パートナーがアスペルガーかな?と思ったあなたへーー脱出カサンドラ 入門編」の初版が発行されました。私は監修をさせていだだきました。

これまでの活動から培ったノウハウと情報がぎっしり詰まった真に役立つ冊子に仕上がってます。
必要な人の手にできる限り多く、行き渡りますように。

購入はこちら
http://asperger-around.blog.jp/
アスペルガー・アラウンド ホームページ
 お問い合わせ・お申し込み → ショップ


※「アスペルガー症候群」は、アメリカ精神医学会の診断基準の最新版 DSM-5では、「自閉症スペクトラム障害」という1つの診断名に統合されました

※「カサンドラ症候群」という名称は正式病名ではありませんが、進行中の心的外傷体験として説明され、その症状は虐待を受けた子どもの症状と重なるともいわれています



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