ドラマ「SUITS」にみるサイコセラピスト

『SUITS/スーツ』というアメリカのドラマがあります。
日本では2012年頃から放送され、レギュラー出演者のメーガン・マークルがイギリス王室のヘンリー王子と結婚したことで話題になりました。

舞台は弁護士事務所。登場人物それぞれのキャラクターや人間関係の設定がおもしろく、ユーモラスでウィットに富んだ会話が楽しいドラマです。

さて、職業柄 注目してしまったのは、シーズン5くらいから登場するサイコセラピストと、主人公ハーヴィのやり取り。
「ここまで言うか」というくらい、セラピストがクライアントであるハーヴィに「直面化」(クライアントが向き合わなければならないことを提示すること)をします。
ドラマなので誇張して描かれてはいますが、セラピーの大事な部分がちゃんと描かれていて感心しました。

日本でも心理療法が一般に認知されるにつれて、ドラマにも心理セラピストや心理カウンセラーが登場するようになりましたが、まだまだセラピーがちゃんと描かれているものは少ないな、と感じています。
というより、例えば臨床心理士をとってみても、学校で働く心理士、病院で働く心理士、企業で働く心理士、それぞれかなり違う仕事をしているので、日本ではいわゆる心理療法(サイコセラピー)というものは、まだまだ知られてないと言っていいのでしょう。

「直面化」は、クライアントが一番向き合いたくないこと、見るのが怖いことについて、言うことになるので、ドラマの中でも描かれているように、クライアントの激しい拒絶や否認にあうこともあります。
セラピスト側からすれば、直面化してみて相手が向き合えるかどうか、一か八かという時もあり、1つの挑戦でもあります。
心理カウンセリングやセラピーというと、「受容」や「共感」ということの方が強調されているように感じますが、本当のサイコセラピストの仕事というのは、あのドラマのように直面化がとても重要な仕事です。

さてドラマでは、一度は拒絶してセラピーを中断するハーヴィですが、最終的には戻ってきて、自分のテーマに向き合うことをセラピストに伝えます。
なかなか優秀なセラピストです。

ハーヴィは、自身の幼少時のトラウマをどんな風に克服していくのでしょう。
この後の展開が楽しみです。


上野千鶴子さんの祝辞

Facebookで話題になっている上野千鶴子さんの平成31年度東京大学学部入学式祝辞。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

こういう祝辞にありがちな耳に心地いい言葉や抽象的な言い回しは一切使わず、彼女の新入生たちへの願いが、率直に語られたと思われる祝辞でした。

「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」

誇張でも何でもなく、全く現状はそのとおりです。残念ながら。
そのことを、社会に出てから徐々に知っていく私たちの時代から比べると、これをハッキリと言ってくれる人が大学で教えているという状況は、進歩したと言えるし、それこそが恵まれた環境だと言えるでしょう。

「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます」

これも全くそのとおり。
正直なところ、自分がこの仕事に就く以前は、そのことをよくわかっていませんでした。
でも今では、がんばろうにもがんばれないひとのこと、意欲をくじかれた人たちのことを、日々目の当たりにしています。
がんばれる人は、環境のおかげなのです。

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。」

がんばれる人は偉いし、がんばったことは誇りに思っていいのですが、環境のおかげだったことを忘れずにいたいものです。
それを思い出せば、感謝の気持ちがわき、謙虚になり、社会的弱者を労わり助けよう思うでしょう。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。」

そして、勝ち抜かなきゃ生きていけない、と思い込んでしまうような社会を変えていくのです。



「たちあがる女」women at war

「たちあがる女(women at war)」は、監督の才能と独特なセンスが感じられる映画でした。

主人公ハットラの迷いのない信念と情熱は、清々しく、ハラハラしつつもどこかユーモラスで、心を惹きつけられます。
表の顔は合唱団の講師、もう1つの顔は環境保護活動家というハットラですが、送電線を切ることも、歌を教えることも、ウクライナの少女の養母になることも、一貫したブレない人物像として生き生きと描かれていると感じました。

BGMを演奏する楽隊やコーラス隊が、登場人物と一緒にスクリーンの中に登場するのですが、これはインド映画でも何度か観た手法で、舞台芸術のようなテイストをつくります。
ピアノとドラムとチューバという組み合わせも面白く、音楽というより、主人公の心情をそのまま表現するような効果音のように使われているところも斬新でした。

展開はコミカルで、一応ハッピーエンドと言っていいのだろうけれど、最後に映されるウクライナの水害は、やはり環境破壊というこの映画のテーマを思い起こされるでした。

ジョディ・フォスターが絶賛し、彼女の監督・主演でハリウッドリメイクされるらしいです。
さて、どんなリメイクになるのでしょう。





calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< January 2020 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.